「TWO TIMESーふたつの時間」の展示終了まで残り半月となった2/16(土)、神奈川県立近代美術館 葉山にて「美術館バックヤードツアー」が行われました。
このプログラムは、「TWO TIMESーふたつの時間」の担当学芸員が、普段は立ち入る事のできない美術館のバックヤードをご案内しながら、展覧会ができるまでのお話や、学芸員の仕事、美術館の役割についてざっくばらんにお話をさせていただき、参加者の皆さんに、より一層美術館に親しんでいただきたいとの思いで企画されました。
それでは当日の様子を写真とともに振り返って参りましょう。
1.講堂にて「美術館を知る」DVDの上映
前日の駆け込みでのお申し込みで定員一杯となった今回のツアー。
参加者の方々にはまず美術館の講堂にお集まりいただき、神奈川県立近代美術館の3館(鎌倉館・鎌倉別館・葉山館)と、美術館のバックヤードをご紹介したDVDをご覧いただきました。
2.作品搬入を行う搬入口(トラックヤード)へ
DVDで美術館の基礎知識をつけていただいた後は、中庭から関係者入口を通り、作品の搬入が行われる搬入口へご案内しました。
美術館の搬入口は、作品が運ばれてきたトラックが到着した際、海の潮や外気の埃等が美術館の中に入らないように両側のシャッターを閉めて換気をする設備がついています。数十分間の換気の工程を経てはじめてトラックの荷台を開け、美術品は館内に入ります。
現在トラックヤードには、2体のゴームリー彫刻が収められていたクレート(梱包用の箱)が保管されています。この2つの大きな木箱に入れられて、ゴームリーの彫刻たちはイギリスからやってきました。
担当学芸員がクレートの仕組みや作品の海外輸送について参加者の皆さんに解説します。
3.学芸室と図書室の書庫へ
搬入口をご覧いただいた後は、関係者入口から館内へ入り、学芸員達が日々仕事をしている学芸室へご案内しました。
沢山の書籍やカタログ、参考資料で埋め尽くされた学芸室ですが、この場所で、今この瞬間も、展覧会が生み出されています。普段は見ることのできない裏方の様子に、参加者の皆さんも興味深くご覧になっていました。
学芸室の後は隣にある図書室へ。
司書の方の案内で、普段は立ち入る事のできない書庫の中にも入りました。
床下の金網越しに見える地下までぎっしりと詰まった蔵書の数々に、参加者の方々も驚かれたご様子。
図書室は美術館開館時間は無料で入れますのでぜひご利用くださいね。
4.管理課、そしてエントランスへ
学芸室や図書室のある地下から、美術館の非常階段を使って、展示室の上の階まで上がっていきます。
展示室の上の階には館長室と、美術館の予算や、総務関連の仕事、人事、管理系の業務を行う管理課のオフィスがあります。
バックヤードツアー参加者の皆さんを、副館長や管理課のメンバーがお出迎えしました。
管理課のオフィスからスタッフ専用の階段を通り、見慣れた場所に出て来ました。展示室へと続くエントランスホールです。
葉山館は、葉山の美観を損なわないように住民の方々との話し合いを重ね、上へ上へと伸びる建物ではなく、地下を利用して極力高さを抑えた設計の元、今から10年前に建てられました。地下と斜面を利用した内部構造は、慣れてしまうとわかりやすいのですが、美術館に慣れていない新人スタッフだと自分が何処に居るかわからなくなってしまう事もあります。参加者の皆さんは一度で美術館の構造を把握されたでしょうか??
5.散策路を通ってゴームリー彫刻へ
ゴームリーの彫刻が撤去されるまで残り約半月。担当学芸員の解説にも力が入ります。
6.講堂にて質疑応答
ゴームリー彫刻前での解説の後は、講堂に戻って質疑応答の時間です。ツアーを通じて美術館の運営に更に興味を持った方から次々に質問が寄せられ、担当学芸員がひとつひとつ丁寧にお答えいたしました。皆さんから寄せられた質問をいくつかご紹介いたしましょう。
・美術館の学芸員は公務員なのですか?
・学芸員になるには資格がいるのですか?
・海外と作品を貸し借りする際、貿易収支はどのようになっているのですか?
・作品を借りるときはお金がかかるのですか?
・毎年作品はどのくらい購入できるのですか?購入資金は税金ですか?
・作品が減ることはあるのですか?? 等々・・・
質疑応答の後はアンケートにご協力きただき、「美術館バックヤードツアー」は盛況のうちに終了しました。ご参加いただいた皆様、どうもありがとうございました。
ゴームリーの「TWO TIMESーふたつの時間」はあと半月ほどで展示が終わってしまいますが、これからもお庭を散歩するようにお気軽に、神奈川県立近代美術館に遊びにいらしてください。(N.H)